2012年5月15日火曜日

ニキビ(ざ瘡):ひまわり皮フ科



【正常な状態】

皮脂は、皮脂腺で産生され、毛包を通り、毛孔から皮膚の表面に分泌されます。この皮脂の流れが滞ったときにニキビは発生します。

【ニキビの発生】

男性ホルモンの作用により、皮脂の分泌亢進と、毛孔の閉塞を生じる。すると、毛包内に皮脂の貯留を来たし、常在するアクネ菌が増殖する。アクネ菌により各種炎症誘発物質が産生され、毛包周囲に炎症を生じる。

【炎症の悪化】

毛包周囲の炎症により、毛包壁が破壊されると、アクネ菌により作られた遊離脂肪酸や炎症誘発物質が毛包外に排出され、更なる炎症の悪化を来たす。

【ニキビ痕】

強い炎症が落ち着いた後は、瘢痕収縮により皮表の陥没を残す。これがニキビ痕の「あばた」です。



ニキビの原因は単一でなく、次のような誘引がいくつか重なって生じるものと考えられます。

ホルモン異常、薬剤、化粧品、心因性、ストレス、発汗、皮膚の乾燥、
ビタミン欠乏、不規則な生活習慣、食事のアンバランス、脂肪や糖分の摂りすぎ、皮膚の摩擦、手で触ること、等

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≪ニキビの治療法≫

ニキビの治療は、次に示すような方法を、単独またはいくつか組み合わせて行っていきます。

塗り薬

【イオウ含有ローション】.....毛孔の詰まりを治す効果

イオウカンフルローションなど。イオウの成分が毛穴を塞いでいる角栓を剥離することで、毛孔の詰まりを治す作用があります。たくさん付け過ぎると皮膚が乾燥してしまいます。

【抗生物質の塗り薬】..........アクネ菌の増殖を抑える効果

 ダラシンTゲル、アクアチムクリーム/ローションなど。炎症を伴う赤いニキビや膿疱に効果があります。

【非ステロイド系消炎薬】....炎症を抑える効果


にきびは、英国の瘢痕

 スタデルムクリームなど。

飲み薬

【抗生物質の飲み薬】.........アクネ菌の増殖を抑える効果

 ミノマイシン、ビブラマイシン、ルリッド、ダラシンなど。炎症が強いニキビの治療に用います。十分に効果のある薬の量で開始して、症状の改善に伴って減らしていきます。できるだけ短期間の使用にとどめるべきですが、重症のニキビに対しては長期投与になる場合も有ります。

【ビタミン剤】.........................ニキビ予防、色素沈着の改善

 ビタミンB2、B6には皮脂の分泌抑制効果があり、ビタミンEにはニキビの炎症を悪化させる過酸化脂質の産生を抑える作用があります。また、ビタミンCにはニキビ痕の色素沈着を改善する効果が期待できます。比較的安全性の高い薬剤ですので、長期間予防的に続けることも可能です。

【ホルモン剤】.......................皮脂の分泌抑制、毛孔の閉塞を予防

ジオールや低容量ピル。男性ホルモンの過剰分泌を抑える効果があります。ジオールには直接的なホルモン作用がほとんど無いので、長期間継続することが可能です。低用量ピルは難治性の女性のニキビに効果が期待できますが、血栓症や乳癌のリスクが高まりますので、注意が必要です。(当院では、低用量ピルの処方は行っておりません。)

【漢方薬】

ニキビに効果があるというよりも、ニキビが出やすくなっている体調を改善する薬です。その時の体調によって使用する漢方薬は様々です。

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ケミカルピーリング

 ケミカルピーリング(very superficial peels)とは、グリコール酸を代表とする化学物質を皮膚に塗ることで、皮膚表面の古い角質を剥がし取る処置です。この処置により、(1)毛孔の詰まりを改善する効果や、(2)炎症を伴うニキビで中に溜まった膿を出す効果(3)ニキビ痕を目立たなくする効果、などが期待できます。1~2週間に1回のペースで治療を開始し、効果が現れてからも1ヶ月に1回程度の割合で治療を続けると、良い状態が維持されます。保険適応はありませんので、多くの医療機関では1回5,000円~10,000円程度で治療を行っています。(当院では、ご自宅で実施できるホームピーリングをお勧めしております。)


にきび肥厚性瘢痕

光治療

皮膚の表面に強力な光を作用させることによって、アクネ菌の駆除を行う治療です。保険適応はありません。(当院では実施いたしておりません。)

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≪ニキビにお勧めのスキンケア≫

ビタミンC誘導体ローション

皮膚から吸収されやすい特殊なビタミンC(経皮吸収型ビタミンC)を高濃度に配合したローションで、特にニキビの予防効果と美白効果に優れています。安全性が高く、日常的なスキンケアに長くお使い頂けます。

ビタミンC誘導体ローションには次の2種類のご用意があります

アミノVCローション   for oily skin
             32ml 4,200

防腐剤など余計な成分を一切省いたシンプルなローション。ニキビ予防の効果に優れます。イオン導入にも使用できます。

VC Extra lotion  for dry skin 
            
50ml 5,250

保湿効果に優れたヒアルロン酸を高配合。乾性敏感肌の方のニキビ、目じりの小じわ、肌のくすみなどに効果があります。

ホームピーリング

 ご自宅でできるケミカルピーリングです。ピーリングキットをご購入頂いて、ご自身で1週間に1~2回のペースで行って頂きます。継続することで、ニキビ予防と、ニキビ痕の改善効果が期待できます。

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≪普段の生活で気をつけるポイント≫

ニキビを悪化させないため、また長引かせないために、日常生活では次のようなポイントに注意が必要です。

寝不足はニキビを悪化させます。体に疲れを溜めないように、十分な睡眠を取りましょう。ただし、寝だめは意味がありません。規則的な睡眠を心掛けて下さい。


・ 食事


にきび傷跡を削除し、深い瘢痕

脂っぽいものや、甘いものの摂り過ぎに注意しましょう。ナッツ類やチョコレートを食べ過ぎるとニキビが悪化する人が多いようです。揚げ物や、中華料理、フライドポテト、カップ麺、コンビニのお弁当などは避け、油分を控えた調理法を工夫すると良いでしょう。タンパク質は肉類に偏り過ぎないように、お魚もしっかり食べましょう。ビタミンの補給と、お通じを整えるために、野菜を十分に摂取する必要があります。

炎症を起こしているにきびには、香辛料やカフェイン、アルコールの摂り過ぎは禁物です。唐辛子やコーヒー、お酒は控えめにしましょう。

食事に関してはバランスの良い食事を心掛けることと、時間が� �規則にならない注意が必要です。無理なダイエットは良くありません。

・ ストレス

疲れやストレスを溜めるとホルモンバランスが崩れて、にきびは悪化します。無理をしないで休息を取ることや、適度な運動でストレスを発散することも必要です。
また、強いストレスがあると無意識にニキビを引っ掻いてしまったり、潰してしまったりすることがあり、このような傾向は特に女性では顕著に表れます。引っ掻いたり、潰したりするとニキビは悪化し、ニキビ痕が残りやすくなります。ニキビを触らないように意識しましょう。

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・ 洗顔

朝夕とスポーツ後などには洗顔料を使用して、皮脂や汚れを洗い落とします。
洗顔の際の注意事項は、
  ①洗顔料をよく泡立てて使用すること(顔の上で泡立てない)
  ②手に力を入れないこと(手で摩擦するとニキビは悪化します)
  ③洗顔料が皮膚に残らないようにしっかりと洗い流す
  ④ニキビができている部位の汚れや皮脂はしっかり除去し、それ以外の部位は保湿成分を落としすぎない
などです。
洗顔前に、熱めのお湯で2~3分間蒸しタオルをして毛穴を開かせることは、毛穴の奥の皮脂や汚れを落とすのに有効です。
皮脂の分泌が多い夏期は脱脂力の強い洗顔料を使い、乾燥肌になりやすい冬期はマイルドな洗顔料を使うようにしましょう。

以下� ��肌のタイプ別に洗顔法をまとめました。


・  脂性型(肌が脂っぽい方)
重症のニキビが多い型。人肌よりやや熱いお湯で、脱脂力のある洗顔料を用い、よく泡立てて、ていねいに洗顔しましょう。洗顔は必ず二度洗いし、洗顔後は化粧水で水分を補います。乳液やクリームは使いません。

ピーリング効果のある石鹸も効果的です。
・  通常型(普通肌、おでこや鼻などのTゾーンは少し脂が多い)
洗顔はぬるま湯で、ニキビ用石鹸か洗顔フォームを使い、額、鼻、顎などの皮脂量の多い部分だけを二度洗いします。洗顔後は化粧水、乳液で保湿します。
・  乾燥型(乾燥肌で肌荒れしやすい方)
洗顔はぬるま湯で、石鹸や洗顔フォームは脱脂力の強くない刺激の少ないものを使い、額、鼻、顎から洗顔し最後に頬を手でていねいに洗います。洗顔後は化粧水、乳液を顔全体に使用し、頬などの乾燥しやすい場所には保湿クリームを使います。

・ 入浴

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・ お化粧

日中でも洗顔できる薄化粧にすることがポイントです。

・  サンスクリーン

紫外線はニキビの悪化因子になると考えられています。特に夏期はサンスクリーン剤を積極的に使用した方が良いのですが、油分を含まないニキビに影響の少ない製品を選ぶ必要があります。

ニキビに対して化粧水の使用は問題ありません。乾燥型で、肌荒れするとニキビが増えるタイプの方は、保湿効果の高い化粧水を使用して下さい。脂性型のニキビの方は、夏季にはアルコールを含んだアストリンゼントローションを使用しても良いでしょう。ただし、炎症が強い時期やアルコールに過敏なヒトにはアストリンゼントローションは勧められません。

・  乳液・クリーム

脂性型の方は化粧水だけで、乳液やクリームは不要です。通常型と乾燥型では洗顔後に化粧水と保湿乳液を顔全体に使用します。使用する乳液はニキビを誘発しにくい製品("ノンコメドジェニック・テスト済み"など、メーカーによって表示は異なります)を選びましょう。
 ニキビを誘発しやすい成分(イソプロピルステアレート、グリセリン、ラウリン酸、オレイン酸など)の入った製品は避けて下さい。

・  ファンデーション


ファンデーションを使用する時は、クリームタイプやリキッドタイプは毛孔を閉塞しやすいので、パウダータイプのものを選びます。ニキビ痕の色素沈着や瘢痕に対してはニキビ専用の部分ファンデーション(コンシーラー)を使用すると良いでしょう。ただし、炎症部位へのファンデーション使用は控えた方が良いので、ニキビが悪化した時は口紅や、眉墨、アイシャドーなどのポイントメークを使って上手にメークアップしましょう。メイク用スポンジは汚れやすいので、こまめに洗って清潔を保って下さい。帰宅後はできるだけ早く化粧を落とすようにして、休日は出来るだけノーメークにしましょう。

・  クレンジング

メークアップ化粧料の除去が不十分だと、ニキビの悪化要因になります。メーク落としにはジェル、クリーム、オイル等の製剤がありますが、いずれの製剤でも拭き取るタイプより洗い流すタイプの方が、ニキビに対して刺激になりません。また、スクラブタイプは炎症を悪化させるので、使用しないで下さい。



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