2012年4月24日火曜日

傷跡・肥厚性瘢痕・ケロイドのレーザー治療


傷跡にまつわる思い出に、良いものはほとんどありません。醜い傷跡は消したいと思うのは当然です。傷跡をきれいにする手術は形成外科の基本であり、様々な手術のテクニックがあります。

しかし一方で、手術が不向きな傷跡もあります。つまり体の部位によって、あるいは傷の大きさ(または小ささ)により、手術した後の方がむしろ目立ってしまう可能性があります。例えば大きなニキビの跡でくぼんだものや、細かい複数の線状の傷跡がある範囲にわたって見られる場合などです。レーザー治療はそのような傷跡でも治療可能です。

1. 傷跡の種類:(scar, hypertrophic scar, depressed scar, keloid)

傷跡は赤いもの、白いもの、茶色いものなど色を含め、大きさや盛り上がり、へこみの有無等の組み合わせが様々です。

適切な治療法を選ぶには、その傷跡の種類をよく把握する必要があります。それぞれの要素をまとめると以下のようになります。


色調:

赤・・・傷跡が治癒してまだ経過が短い、または炎症が遷延化したもの。
白・・・傷跡が治癒して経過時間が長く、今後自然経過での変化が期待できない。
茶色・・・色素沈着を伴う傷跡。

形:

盛り上がり・・・傷が治る過程で過剰に瘢痕組織がつくられた状態。
へこみ・・・組織の欠損が生じその上で上皮化した状態。


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手術を含む傷跡の治療法を選択するには、その他にも身体の部位や大きさなどを考慮しなければなりません。レーザー治療の場合は、常に標的色素が何であるかを念頭に置かなければなりません。つまり傷跡の色が何であるかによって使用するレーザーが異なり、また形状によって設定なども大きく異なります。

2.傷跡の治療

傷跡の治療は保存的治療、レーザー治療、手術による治療とに分けられます。傷跡の種類によって治療法が選択されますが、当然病院によって治療法に制約が生じます。日本橋Fレーザークリニックでは、3つ全ての治療法が行えます。

ただ、傷跡の治療はその傷を無かったことにする、生じる前の元に戻すものではなく(そのような治療法は存在しません・・・)、あくまでもその傷跡を目立たせている一つ一つの要素を取り除いて行く作業です。


保存治療ステロイドによる治療が中心となり、その他に内服薬も使用します。圧迫療法、テーピングも併用します。
手術直後や比較的経過が短い(概ね術後6ヵ月以内)赤く、軽く盛り上がった傷跡には有効で、むしろ術後のフォローとして使うことが多いです。ただ、経過が長い白い傷、へこんだ傷跡には無効です。問題として、保存治療は時間がかかり、テーピングなど患者さんにも結構手間がかかります。ただその割には効果が限定的ですので、術後のフォローやレーザー治療との併用治療として用います。


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レーザー治療色素レーザー、ヤグレーザー、炭酸ガスレーザーを用いて、ほぼ全てのタイプの傷跡の治療に 用いることができます。治療効果も高く、傷跡の種類によっては手術では改善が期待できないものに にも効果が出せます。治療は1ヵ月から3ヵ月おきに1回行い、治療回数は1回からものよっては 10回近くかかることもあるため、治療完了まで期間がかかってしまうこともあります。ただ全ての 傷跡でレーザーが第1選択になるかと言えばそうではなく、手術の方が勝る場合もあります。

手術治療形成外科の歴史で、傷跡の手術は特別な位置を占めています。手術法、理論等古くから研究されており、傷跡が残らない(目立たない)ように手術を行うことは形成外科の基本です。線状の傷跡、幅や大きさがそれなりにあるものに対しては手術が第1選択になります。傷跡の手術は原則傷跡を切除し、その後目立たないように縫い合わせます。この時皮膚の伸展性を利用して皮膚のやりくりをし、傷跡に緊張がかからないようにすることもあります。したがって、皮膚に量的余裕のない傷跡や部位、切除範囲が広すぎる場合などはレーザーの方が安全で効果的です。また、小さく密集している傷跡等の条件であると手術は向いていません。手術はレーザー治療より多少なりとも リスクを伴います。また適切なフォローを行わないと、せっかくの治療効果も減少してしまいます。


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レーザー治療 手術
治療回数 3回~(多数回の場合もあり) 1回
治療期間 1~3ヵ月
治療間隔 3ヵ月~1,2年 6ヶ月~1年(フォロー期間)
治療費 3,150円(税込)/1㎝~(線状瘢痕)
12,600円(税込)/1c㎡~(面状瘢痕)
顔 31,500円(税込)/1㎝~
その他 21,000円(税込)/1㎝~
使用レーザー 色素レーザー、ヤグレーザー、ウルトラパルス炭酸ガスレーザー

3.ケロイドのレーザー治療:

ケロイド体質という言葉を耳にしますが、よく外科手術の痕が赤く盛り上がることがあります。厳密には元の傷の範囲を超えないものは肥厚性瘢痕と言い、これは手術が第1選択の治療法です。ケロイド(真性ケロイドという言い方もあります)は、原因不明の創傷治癒過程の暴走と呼べるものです。


小さな虫刺され、ニキビが次第に硬く、赤く盛り上がり、周囲の正常皮膚まで巻き込んで広がり強い痒みや、接触時の強い疼痛などの症状が現れることもあります。ケロイドの場合、手術は原則禁忌です。

手術で切除してしまうと悪化し、術前よりさらに大きなケロイドを生じてしまうからです。 放射線療法、ステロイドの局注、圧迫療法など様々な治療法がありますが、確定的なものはありません。 レーザー治療1回の照射でケロイドの軟化、平坦化、掻痒感の減少、大きさの縮小などが認められます。 ケロイドはどういうわけか、ある時期を境に突然生じ初め悪化増大の一途をたどり、症状も強い期間もあれば、 安定しほぼ無変化から縮小する期間もあります。また、このサイクルを数年おきに繰り返す患者さんもいます。



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